俳句の部屋(シリーズ1)

① 俳句入門
  最近、TVのバラエティで、芸能人が俳句を作り、プロの先生が少し手直ししながら、順位を競ったりしています。従来の年寄達のそれとはちょっと違う、手軽な俳句ブームが来ているようです。
  ご承知の通り、教科書的には、俳句は5・7・5という17音の世界で最も短い詩で、冬なら雪というような季節を表す言葉を1つ入れ込むのがルールです。どなたもご存じの松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」の句に代表されるのが俳句です。
しかし、1句ひねる(詠む)のを難しく考える必要はありません。ある商品が売れるようにコピーライターがキャッチコピーを作る感覚で、例えば、冬だ、寒そうと読み手が感じるような季節のワンシーンを表現すれば良いのです。その手法は、ある自然の草花にピントを合わせたワンショットを撮るような感覚でも良いし、自分の生活シーンに草花のショットを貼り付けるようなイメージでも良いのです。最終的には、人に「良い句だね」と褒めてもらえたら最高ですが、「なかなかいいな」と自己満足するのもまんざらではないのが俳句です。
  このシリーズでは、そんな俳句について、基本的なことをおさらいしながら、みなさんと一緒に、俳句の面白さを見つけて行きたいと思います。

〇簡単そうで難しい?
  5・7・5で季語を入れるだけと言いながら、花を見ても簡単にすらすらとは浮かばない。好きな俳句はと問われてもすらすらと出てこない。それは、俳句に親近感が持てていないことから、本当にこんなので他人にバカにされないかなということがあるからかも知れません。正岡子規が「俳句は写生」とか面倒くさい文芸論などを展開したり、俳人同士が門下によって、その是非を議論したりして、俳句を難しくしてしまったことで、一般の人達から敬遠されて来たような気がします。でも、そもそも、俳句って文学なのでしょうか?俳句から分かれた川柳は文学なのでしょうか?
〇難しそうで簡単!
  極論かも知れませんが、文学=高尚=難しい=極めるものではないという考え方に組みしたいと思っています。本来、しゃれ=軽薄=簡単=遊ぶものという方程式がむしろふさわしいのです。とにかく、実は、俳句が遊びやゲーム感覚で軽くて面白いモンと世に紹介されて来なかったことが、親近感を持たれない根本要因だったのではないでしょうか。ようやく面白いモンと紹介してくれたという点で素晴らしいのが、先述のTV番組ではないでしょうか。